言葉を育てる

園長コラム

 秋晴れの下、子ども達は走ったり跳んだり踊ったり…とても快活にすごしています。

来週に控えた「運動会」は園行事のなかで一番大がかりのものです。保護者の皆様には多数ご協力いただきまして有り難く存じます。当日は子どもも大人も楽しめる一日になることでしょう。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 さて、2学期は子どもの内面が著しく発達していきます。その中心になるのが言葉の発達です。日常の何気ない言葉のやりとりに、子どもを理解する発見があります。

 

 年長が跳び箱や梯子・巧技台を組み合わせた障害物に初めて取り組んだ時のことです。

ある男の子が「やりたくない。」と教師に訴えて来ました。普段に強く主張することが少ない子どもがはっきりと言ってきたので、静かに「どうしてやりたくないの?」と尋ねてみると、「梯子のところが怖いからイヤ。」と答えたそうです。教師は「そうか・・・怖いよね・・・そうしたら、必ず先生がついて助けるよ。」と声をかけました。すると、「わかった。」と列に並ぶことができました。そして、教師は言葉通りに梯子の乗り越えを援助し、2回目からはほとんど手を借りず出来るようになりました。

 

 このやりとりは大人からすると簡単に思えますが、幼児期のとても重要な成長になります。嫌なこと困ったことに泣いたり、押し黙って動けなくなってしまうのは年少児で見られます。それを大人がくみ取って言葉にしてあげるうちに、子どもは少しずつ言葉がでるようになっていきます。自己中心性が残っている年齢ですから、時に相手に伝える言葉を学んでいく必要もあります。友達遊びはもちろん、わかりやすい例では、昼食時コップのお茶がカラになり「お茶がなーい。」と怒鳴るだけでは幼いままです。教師は「お茶をください。」と言葉を添えて、注いであげます。着替えを「できなーい!」と投げ出すように言ってくれば、「手伝ってください。」と言いつつ手を貸します。

また、子ども大好きな「絵本の読み聞かせ」や園で行っている「素話」は言葉からイメージをふくらませる力を育みます。

 

 年中児になりますと、外側にある物や出来事を理解できるようになり、語彙も増えてきます。感情が豊かになり、「嫌だな」という漠然としていた思いが、「悔しい・怖い・怒り・悲しさ・・なのか」繊細に自覚できるようになってきます。それは快の感情も同様です。自分の気持ちや考えていることを言葉にしていく成長期になります。

そして、年長児では表現力が高まり聞くことの理解力も深まり、話し合いができるようになります。

 

このような言葉の発達に大切なのは、子どもの話に耳を傾けてくれる大人の存在ですせかしたり話の結論だけに興味があるような聞き方ではなく、子どもが一生懸命に言葉にしている過程に付き合ってあげると、自然な相槌をうってあげられるようになり、大人も楽しくなり会話がはずみます。話している時の大人の表情やしぐさ、言葉の雰囲気などが合わさって、子どもは生き生きと言葉を覚えていきます。

 

 今の青少年は話すのが苦手になりつつあります。もともと感覚的に不得意の子どもがいますが、ご家庭での会話の減少やSNSなどコミュニケーションツールの変化などが影響していると考えられます。普段、大人がスマホやパソコンに意識をとられすぎていると、ぶっきらぼうな対応になりがちで、会話が続きません。せめて、子どもと居る時間は気をつけてあげましょう。

 

 冒頭の年長児のような言葉のキャッチボール=会話ができるようになりますと、本人も他者も理解が深まり問題はこじれずに解決しますし、喜びや感動の共感は心を穏やかにたおやかにしていきます。幼稚園の3年間で育ってほしい能力のひとつです。

 

                           園長  手 塚 映 子

2017年9月29日

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