新しい年をご家族で朗らかに迎えられたことと思います。団らんのなかで「今年は小学校に入るよ」「藤色(桃色)になる」と期待にふくらむ子どもの声があがったのではないでしょうか。2020年は東京オリンピックの開催もあり、活動的で明るい1年になりますようにと心から願います。
さて、私は元旦に幼稚園前で卒園生の姉妹とお母さまに十年ほどぶりにお会いしました。姉妹は社会人と大学生となって、それぞれ自分で決めた道を歩んでいると具体的に話してくれました。そして2人がそろって「嶺町幼稚園がよかったのです。」「自分に他の人と異なるところがあると時々感じることがある・・・。」と説明してくれました。
興味深く聞いていてふと思い出したのはある卒園児のお母さまの言葉です。「成長を見守るなかで自分の子どもにとって何がよかったのか、出来ない事があるともっと教えておけばよかったとか、小学校高学年くらいまでは迷うことが多かったのですが、ある時から目に見えないけれど着実に育っているところが分かってきて、大丈夫と思えてきました。それは卒園の友だちを見ていても感じます。」とおしゃっていました。
当園では昔も今も、子どもの感覚が外側にむかって主体的に働くことをとても重要に考えてきました。聞き入る・見つめる・味わう・夢中になる・・・そこから気づき興味を持ち、心が動き、頭が巡る。それは正解があるのでなく人に教えてもらうのでもありません。自由な可能性をもった世界で感性を磨いているのが幼児期です。その巡りがのびやかにつながるように環境を整え援助するのが私達の役割です。そして学童期以降の「学び」が加わっていき、外側からの情報をとりこみ、自身で考え判断し、外の世界へ表現し行動することができるようになっていきます。そして卒園後、保護者のみなさんがお子さんのなかに見届けていらしたものは、人として核になる「自己実現力」の成熟とも言えるでしょう。
あらためて、幼稚園が子どもと共に大人にとっても成長の場となり卒園後も応援し続けられるような存在でありたいと強く思いました。
さて3学期は落ち着いた雰囲気のなかで活動への取り組みが深まってきます。一人ひとりの育ちが入学・進級に明るく繋がっていくような3学期にしてまいります。
保護者のみなさまにはかわらぬご理解ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
園長 手 塚 映 子