2010.9.28

担任コラム

アメリカでの研修を終えて

 1 年間アメリカで、シュタイナー幼児教育について、学んでまいりました。今回はそこでの私の体験をお伝えします。
 私がアメリカで始めに感じましたのは、文化の違いでした。カリフォルニア州という理由からかもしれませんが、人々が非常に気さくでありました。オープンに自分を表現する姿に戸惑うことがありましたが、発言の内容よりも自分がそこにいるという存在を示すために発言するのが文化であると聞き、違いに驚きました。日本では小さな疑問は自分で考えるという習慣があります。どちらが良いという発想ではなく、文化に合わせることが、現場になじむ近道であると考え、つたない英語ながら質問や意見を言うように心がけました。そこで、自分の意見を言葉にすることがいかに難しいかを感じました。
 そして、それとは逆の体験をすることもできました。実習中、目の前の子どもとの一対一の対応はできたのですが、語学の壁から、背後での喧嘩の状況を把握しきれないときがありました。そこで言葉ではなく、私自身の雰囲気を感じ取ってもらうことが、教育であると感じたのです。雰囲気とは日頃からの大人の姿そのものです。そこには落ち着きや社会性も含まれると思います。感情のコントロールも必要でしょう。つまり子どもと接する私たちが、どのような状況においても模倣されて構わない状態でいること。そして全身を使って愛を表現することです。子どものいる4 時間の間そのような状態を継続させることは非常に難しいものでありました。ただ、そのような意識が、幼児教育者としての意識を高めてくれるのだと感じました。小さな問題には動じずに、一つ一つの対応を丁寧に行う姿が、子どもとの信頼関係も深めるのだと思います。言葉で物事を伝えるのは簡単です。しかし言葉だけに頼らずに、雰囲気の中でも愛と温かみを与えることが、子どもに安定した気持ちをもたらすと感じた体験でした。
 次にユーモア、幸福感の大切さを感じました。子どもを小手先で喜ばせるのではなく、大人自身が喜びを持って毎日を生活する姿が子どもに良い影響を与えていました。肯定的なユーモアが、子どものファンタジーの助けとなっていました。子ども達は大人のユーモアから、様々な生きる知恵を学んでいきます。カリフォルニアの人びとを見て、改めて感じた点でした。
 また、子どもの観察をしていると、その子が今求めている欲求が少しずつ見えてきます。日々の生活に追われていると、自分のことで頭がいっぱいになってしまいます。しかし子どもはそのような大人のあわてぶりを、感覚を通して感じ取っているのです。そうならないよう、英語の対応にあくせくしていたときは、一度ゆっくりと落ち着き、深呼吸をし、子どもを観察するようにしていました。すると、今まで見えてこなかった子どもの動きも見えてきました。皆様も一度試されてみてはいかがでしょうか。
 秋の収穫祭、冬のクリスマス、春の地球の日に、人形劇を行う機会を持たせていただきました。この人形劇は、イベントの中の一部で、学校に地域の子ども達が集まる日に行われました。内容は季節に関連したものを行ったのですが、どの子も真剣に劇に見入っていました。歌の場面で一緒に歌う子、お気に入りの人形が出てきたら前に乗り出す子、一点に集中したまま全く動かない子など、どの子もファンタジーの世界を楽しんでいました。そして驚いたのは、お父様の参加人数の多さです。アメリカは日本に比べて子育てに積極的なお父様が多いと言われていますが、お父様も真剣に人形劇を見てくださる姿を見ると、子どもにも必ず良い影響が伝わると感じます。家族そろって同じ時間を主体的に共有することは、絆も深めてくれるでしょう。私は、子育てにおいて、役割分担が大切であると考えています。男性は男性らしい部分で子どもに関わっていくことが必要であると考えています。母親と同じ役割を担う必要はありません。外で遊んだり、木工作業や庭作業を子どもと一緒に行う、男性が楽しいと思える活動を子どもと共有することが、貴重な体験、そして信頼関係につながるのだと思います。
 一年間、家族や友だちを始め、周りの人全てが、お互い影響しあって‘今がある’と感じた研修でありました。この体験を嶺町幼稚園の皆様に、私自身を通してお伝えしていけたらと思っております。

 これからもどうぞよろしくお願いいたします。

大地組担任 斎藤晴彦

2010年9月28日

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